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負け犬

2011/08/06 Sat 11:34

負け犬
負け犬という表現があります。

先日、ある古い学園モノのドラマを見ていたら、足の臭そうな体育会系の先生が泣きじゃくる生徒達に

「おまえたちは負け犬のままでいいのか!」

と、涙ながらに叱咤激励しており、それを見ていた僕はおもわずこの「負け犬」という言葉にスパーンっと反応してしまい、その後のドラマのストーリーなど上の空で、この「負け犬」っというヤツをムンムンと想像しておりました。

僕自身、この「負け犬」という言葉を色々なシーンでよく使っていますが、ニュアンスではわかるものの、しかしこの「負け犬」と呼ばれる「犬」をよく存じておりません。

そもそも、この「負け犬」という言葉は闘犬の世界から生まれて来た言葉ではなかろうかと勝手に想像します。
僕も闘犬は大好きでして、以前、ヨダレだらだらな土佐犬を飼っていた時期もございます(大会には出場させた事はなくただの飼い犬でしたが・・・)。
ただ、この闘犬の世界で、負けた犬に対して「この負け犬めが!」と、土佐の高知のはりまや橋の坊さんが怒鳴るのは意味がわかるのですが、しかしラグビーの試合に負けたからといって、たったそれだけで生徒を「負け犬」呼ばわりするのはいかがなものかと、ついつい想像して爆笑してしまったのです。

そんな「負け犬」。
それはいったいどんな犬なのでしょう。
人間界においてこれほどまでに忌み嫌われる言葉ですから、本物の負け犬とはさぞかし凄まじい犬ではないかと予想できます。

恐らく、この負け犬という種類の犬というのは、いつも犬小屋の中に引き蘢っては新聞配達や宅急便に「グルルルル・・・」っと唸っているだけの「ヒキコモリ犬」ではなかろうかと推理します。
しかし、彼は決して勝負に負けたわけではありません。
いや、彼は勝負をしないままに、というか勝負すらさせてもらえないままに、御近所では「ほらほら、例の石浦さんちのポチ、どうやら噂通りの負け犬らしいわね・・・」などと、既に負け犬呼ばわりされてしまっているようで、まぁ、この場合、飼い主にポチなどという昭和チックなどーでもいい名前を付けられた時点で既に負け犬として認定されたようなものですが、それにしても戦わずして負け犬とは、なんとも駄犬愛護協会の僕としては釈然としないのでございます。

因みに、唐突ですが、そんな負け犬はいったいどこのペットショップで売っているのでしょうか?

さっそく僕の知り合いのペットショップに電話をして問い合わせた所、そこの御主人(五十前後・白髪髭・エプロンやや汚く・奥さん美人)が、なにやら「丁度今いい負け犬がいるよ」と言う事でしたので、とりあえずデーターをファックスで送ってもらう事にしました。
それがこれです。



犬 名:負け犬

原産国:日本・信州

サイズ:高さ(cm): 48.26~71.12
    体重(kg): 29.25~58.5

毛色:茶と白のコンビネーション

病気:毛玉多し
   皮膚病・脱毛アリ
   内分泌疾患・肉芽腫性脂腺炎
   ノミ・シラミ(別途料金によりオプション可能)

特徴:一日中、犬小屋にこもりっぱなしでとっても飼いやすい。
   体臭・口臭はかなりのキツめ。
   誰にでも吠えるので番犬にはもってこいだが、実戦は無理。

性格:まれにみる低能で尚かつ卑怯。
   子供や老人には勇敢に立ち向かうが成人男性には逃げ足が速い。
   若い女性に甘えたりもするが、女性の股間を嗅ぐ性癖あり。

写真:

viploader579435.jpg

名前:みつお

値段:無料(返品不可)



と、まぁ、恐らく負け犬とはこんな感じなのではないかと、ひとり妄想してはケラケラ笑っているわけですが、四十を過ぎたオヤジが実にバカと言うか阿呆と言うか死ねばいいと自分でもつくづく思います。

さてさて負け犬。

この言葉は主に体育会系が常套用語として使っている隠語というか精神用語です。
そんな体育会系の彼らはあらゆる面において、この「負け犬」という精神用語を活用しております。
体育会系とひとくちで言えど、ソレ系はあらゆる分野に別れております。

まず、体育会系といえば、言葉の通りスポーツマンですよね。

しかし、スポーツと言ってもフィギュアスケートやシンクロナイトスイミングやスキージャンプといった種類では、この言葉はあまり活用されません。
例えば、

「さぁ、浅田真央選手、最後にトリプルアクセルを決めるか・・・あっと!バランスを崩した浅田真央選手、最後のトリプルアクセルに踏込めません!」

「あぁ、浅田選手は最後のチャンスを諦めましたね・・・とんだ負け犬ですね・・・」

などと、技術解説の荒川静香はこんなことは言いません。
こんな事を言うヤツは、荒川静香ではなくバッテン荒川です。

prof_convert_20110223212103.jpg
  (バッテン荒川さん)

このように、負け犬という言葉を使いたがるのは、フィギュアスケートといった華麗なスポーツではなく、どちらかというと硬派なセンズリ系が多いようです。
そう、柔道とか空手とか相撲とか剣道といった格闘技系ですね。
しかも、大概、前年度の大会で準優勝で負けているヤツラですね。

「お前達は負け犬じゃない!去年の悔しさを思い出せ!」

などと、モミアゲのコーチに檄を飛ばされながら、選手達はワキの下から酸っぱいニオイをプンプンさせては「押忍!」などと凄んだりするのです。

この他にも体育会系といえば、任侠や右翼や暴走族といった似非日の丸系がいます。
彼らも、この「負け犬」という言葉が三度のメシより大好きで、なにかと言えば、すぐに人を負け犬呼ばわりしたがり、又、自身も絶対に負け犬にだけはなりたくないという信念を持っている変態です。
しかしながら、彼らのこの言葉の使い方には、非常に商業的な要素が多く含まれておりまして、精神用語というよりも、営利目的用語なのです。

例えば、ヤクザの場合ですと・・・

繁華街の路地裏の薄汚れたラーメン屋の隅で、文太くずれの兄ぃがヘタレの小僧にそっと拳銃を渡しました。

「こんなぁ、このまま負け犬呼ばわりされてええんかいのぅ。ここらでキッチリとヤツのタマば取って、男ばぁあげちゃりない・・・」

完全なマッチポンプです。
兄ぃはヘタレ小僧に「負け犬論」で空気を入れ、彼を鉄砲玉に使うつもりなのです。
ヘタレ小僧は「負け犬」という言葉に対してパンパンに空気が入りました。
「負け犬呼ばわりされたくない」という、たったそれだけの理由で、ヘタレ小僧は拳銃を手にしたのです。
ブルブルブルっと震えてソレをズボンの腹に押し込むと、兄ぃから貰った3万円を握りしめ、そのまま女郎を買いに遊郭へと直行です。
そしてその夜、ヘタレ小僧は「負け犬のまま終わりとうないけぇのぅ・・・ワシは男になっちゃるけんのぅ・・・」っと女郎の腹の上で唸るのです。

翌日、ヘタレ小僧はお侍さんのような名前の親分の土手っ腹にパンパンパンっと3発撃ち込みました。
彼の事を「負け犬呼ばわり」していたおじさんは即死です。
彼の事を「負け犬呼ばわり」したばっかりに殺されてしまいました。

見事な仕事でした。
これでもう誰も彼の事を「負け犬」とは呼びません。
が、しかし、彼は懲役十六年です。
「負け犬」と呼ばれないかわりに、彼は十六年の人生を棒にふったのです・・・




こう考えますと、この「負け犬」という言葉はなんと凄い言葉なのでしょう。
その言葉だけで、屈強なラグビー選手達は泣き、柔道家は奮い立ち、ヤクザは人を殺めて人生を棒にふります。
凄いです。凄まじい言霊です。

勝ち犬。負け犬。
当然、勝ち犬の方がいいです。
負け犬よりは勝ち犬の方が全然いいです。
しかし、哀愁度でいえば断然「負け犬」です。

負け犬。
なんという淋しい響きでしょう。
哀れで悲しくて卑怯で臆病で足が臭そうで貧乏でミジメな奴なんだけど、笑顔の憎めない奴。
負け犬って奴はきっとそんな奴なのではないかと、ふと思う今日この頃です。


(完全に負け犬の唄です・・・)

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