昭和銭湯不思議少女1
2010/02/17 Wed 23:49
その娘がいつから私達と一緒に男湯に入っていたかはっきり覚えてないんですけど、確か小学校の3年生くらいまでは私達と一緒に銭湯で暴れてたと思います。
アダナはプーちゃんとかプー子って呼ばれてました。
フミコって名前のフーからプーって呼ばれてたと思うんですけど、もしかしたらフーテンのフーからプーへと変化したのかもしれません。
それっくらい彼女は飛んでる娘でした。
アダナはプーちゃんとかプー子って呼ばれてました。
フミコって名前のフーからプーって呼ばれてたと思うんですけど、もしかしたらフーテンのフーからプーへと変化したのかもしれません。
それっくらい彼女は飛んでる娘でした。
プーはいつもおじいさんと銭湯に来てました。
その人がおじいさんじゃなくてお父さんだと知ったのは、私達が中学生になった頃でして、それまで私達はその老人をプーのおじいさんだと思っていました。
プーのお父さんってのはなんかいつも淋しそうな、やる気のなさそうな、とっても無口な親父でして、風呂場の隅で1人静かに延々とシャワーを頭に掛けてるそんな苦悩の多そうな親父でした。
そんなプーの親父に力石徹という辛いアダナを付けたのは、当時プーの事が好きだった小森というガキで、延々とシャワーを頭からかぶりながら哀愁を漂わせてる親父を見て、彼が「減量中の力石みてぇだなぁ」といった一言から、プーの親父は力石徹というアダナが付いたのでした。
さて、そんなプーは私達に負けないくらいのイタズラ好きだったんですが、しかし、女だからでありましょうかそのイタズラはなんとも残酷なもので、男の私達はいつもプーのイタズラにはヒヤヒヤしていたものでした。
湯の中でペットを飼い始めたのもプーが最初です。
最初は、ドブ川にいたカエルを捕まえて来ては湯の中で泳がせていたプーですが、そのうちそれがエスカレートして、なんとプーは金魚を湯の中に泳がせたのです。
カエルならまだいいでしょう。
多少は湯が温かくてもちょっとのぼせる程度で、泳ぎなんかがヨロヨロになるとすぐにケロリンの風呂桶に貯めた冷水に入れてやればたちまち回復します。
しかし金魚はやっかいです。
まず、湯の中に放したら最後、浴槽の中の金魚を捕まえる事ができないのです。
しかもプーはどこから持って来たのか5匹いっぺんに湯の中に放しやがったのです。
湯の中で気味の悪い浪曲なんかを唸っていた爺さんは、突然湯の中を泳ぎ回る真っ赤な金魚を見て、まるで幻覚でも見ているかのように目をパチパチとさせていました。
金魚も大変です。
なんだこの熱さは!ってな感じで、死に物狂いで泳ぎまくってます。
しかし元気が良かったのは最初だけで、そのうち金魚は苦しくなって来たのか、水面に口をプカプカさせながら浮いて来ます。もう既に虫の息というやつです。
私達はそんな瀕死の金魚をケロリンの桶で救出しては、冷水で手厚く介護するのですが、しかし時既に遅し、残念ながら金魚達はケロリンの桶の中でプカプカと・・・
そんな時でもプーは飛んでます。
「これ、食べれるのかなあ」などと真剣な顔で乞食の矢作さんに聞いたりして、「まさか」と乞食を呆れさせておりました。
ただ、気になったのが、ケロリンの桶でプカプカと浮いていたのは3匹だったんですよね・・・・
残りの2匹の姿が見当たらないのです。
私はその日から浴槽に入るのが怖いし気持ち悪いし、湯の底で茹で上がった金魚が私達をジッと見ているのではないかという恐怖に駆られ、私は湯の中で誰かの足に触れるだけで「わあああ」と脅えておりました。
さて、そんな金魚の「無駄死に」にもまったく懲りる事のないプーは、その後も緑亀や鯉の稚魚などを持ち込んでは、無意味な殺戮を繰り返していたわけですが、ある時、そんなプーが私達の最大のライバルでありますヘンタイに襲われそうになった事がございます。
ヤツは近所の鉄工所で働いている流れ者の労働者だったんですが、太ももに桜の花のイレズミが一輪だけ彫っている(自分で彫ったと思われるスジ彫り)という、子供の私達から見ても実にハンパな野郎でして、そいつがいきなり私達の所に、まるでジョーズのようにジワリジワリと近付いて来ました。
で、そいつは私達に「おめぇたちいくつだ」などと、どーでもいい質問なんかを始めます。
そいつは明らかにプー狙いです。
「女のくせになんで男湯なんかに入ってんだよ」
と、いやらしい目をギラギラさせながらそいつは湯の中のプーに迫っていきます。
気の強いプーはそいつからスッと逃げると「私男だもん」とプイッと頬を膨らませます。
するとそいつは「だったらチンコみせて見ろよ」と酒臭い息でハァハァ迫っているのです。
子供ながらも「これはマズイ!」っと思った私達でしたが、私達のような子供には何もできません。
そうしている間にもプーはだんだんと浴槽の隅に追いやられていきます。
プーの親父を見ましても、何が辛いのか相変わらず風呂場の隅で頭にシャワーをぶっかけながら苦悩しております。
かくなる上は番台のオババに、と、思ったその時です。
全身に見事なカラクリモンモンをどっぷりと彫り込んだヤクザ者が、チンポをブラブラさせながら浴槽にやって来て、「うひゃぁ~」と目を細めながら湯に浸かりました。
私達はこのヤクザ者をよく知ってました。
以前、彼からは「正しいセンズリの仕方」というものを教わった事がありまして、いわば我々の先生であります(実際、彼が教えた通りのセンズリをした丸山はチンポが切れました)。
私達はさっそく彼に助けを求める事にしました。
湯船の中でいきなり集まって来る悪ガキ達に「よお、センズリ坊主」と、指が4本しかない手で顔をバシャっと洗って笑っております。
「兄ちゃん、プーが・・・」
と、私達はここぞとばかりに悲しい顔をしてヤクザ者に訴えました。
彼はすぐに状況を察したのでしょう、そのヤクザ者は「おい」と鉄工所の流れ者に声を掛けました。
桜の花一輪の鉄工所の流れ者は、その全身胸割りのイレズミを入れた兄ちゃんを見るなり、そそくさと風呂から出て行ってしまったのでした。
危うく難を逃れたプーでしたが、しかし、これで終わるはずがございません。
これがこち亀や寅さんの世界だったら、助けてくれたヤクザ者に「人は見かけによらないもんんだね~」などというナレーションで終わりましょうが、しかしここは最も危険でアウトローな銭湯なのでございます。
安心しきったプーが「あのおっちゃん私が男だって言ったらじゃあチンチン見せてみろって言うんだよ」と、ヤクザ者にプンプンと怒りながら話しておりますと、なんとそのヤクザ者までも「おまえ男だったのか?じゃあ証拠のチンコ見せてみろ」と言って来るではありませんか。
万事休す!!
しかし、まぁ、プーという少女は不思議というかバカというか、「兄ちゃんならいいよ」とアッケラカンと湯船から立ち上がると、その、いわゆる女のチンチンを見せては「あっ、なくなってる!」などと驚いたりして、そのヤクザ者だけでなく風呂場にいた乞食や肉体労働者までも、ゲラゲラと笑わせてくれたのでした。
(つづく→)
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その人がおじいさんじゃなくてお父さんだと知ったのは、私達が中学生になった頃でして、それまで私達はその老人をプーのおじいさんだと思っていました。
プーのお父さんってのはなんかいつも淋しそうな、やる気のなさそうな、とっても無口な親父でして、風呂場の隅で1人静かに延々とシャワーを頭に掛けてるそんな苦悩の多そうな親父でした。
そんなプーの親父に力石徹という辛いアダナを付けたのは、当時プーの事が好きだった小森というガキで、延々とシャワーを頭からかぶりながら哀愁を漂わせてる親父を見て、彼が「減量中の力石みてぇだなぁ」といった一言から、プーの親父は力石徹というアダナが付いたのでした。
さて、そんなプーは私達に負けないくらいのイタズラ好きだったんですが、しかし、女だからでありましょうかそのイタズラはなんとも残酷なもので、男の私達はいつもプーのイタズラにはヒヤヒヤしていたものでした。
湯の中でペットを飼い始めたのもプーが最初です。
最初は、ドブ川にいたカエルを捕まえて来ては湯の中で泳がせていたプーですが、そのうちそれがエスカレートして、なんとプーは金魚を湯の中に泳がせたのです。
カエルならまだいいでしょう。
多少は湯が温かくてもちょっとのぼせる程度で、泳ぎなんかがヨロヨロになるとすぐにケロリンの風呂桶に貯めた冷水に入れてやればたちまち回復します。
しかし金魚はやっかいです。
まず、湯の中に放したら最後、浴槽の中の金魚を捕まえる事ができないのです。
しかもプーはどこから持って来たのか5匹いっぺんに湯の中に放しやがったのです。
湯の中で気味の悪い浪曲なんかを唸っていた爺さんは、突然湯の中を泳ぎ回る真っ赤な金魚を見て、まるで幻覚でも見ているかのように目をパチパチとさせていました。
金魚も大変です。
なんだこの熱さは!ってな感じで、死に物狂いで泳ぎまくってます。
しかし元気が良かったのは最初だけで、そのうち金魚は苦しくなって来たのか、水面に口をプカプカさせながら浮いて来ます。もう既に虫の息というやつです。
私達はそんな瀕死の金魚をケロリンの桶で救出しては、冷水で手厚く介護するのですが、しかし時既に遅し、残念ながら金魚達はケロリンの桶の中でプカプカと・・・
そんな時でもプーは飛んでます。
「これ、食べれるのかなあ」などと真剣な顔で乞食の矢作さんに聞いたりして、「まさか」と乞食を呆れさせておりました。
ただ、気になったのが、ケロリンの桶でプカプカと浮いていたのは3匹だったんですよね・・・・
残りの2匹の姿が見当たらないのです。
私はその日から浴槽に入るのが怖いし気持ち悪いし、湯の底で茹で上がった金魚が私達をジッと見ているのではないかという恐怖に駆られ、私は湯の中で誰かの足に触れるだけで「わあああ」と脅えておりました。
さて、そんな金魚の「無駄死に」にもまったく懲りる事のないプーは、その後も緑亀や鯉の稚魚などを持ち込んでは、無意味な殺戮を繰り返していたわけですが、ある時、そんなプーが私達の最大のライバルでありますヘンタイに襲われそうになった事がございます。
ヤツは近所の鉄工所で働いている流れ者の労働者だったんですが、太ももに桜の花のイレズミが一輪だけ彫っている(自分で彫ったと思われるスジ彫り)という、子供の私達から見ても実にハンパな野郎でして、そいつがいきなり私達の所に、まるでジョーズのようにジワリジワリと近付いて来ました。
で、そいつは私達に「おめぇたちいくつだ」などと、どーでもいい質問なんかを始めます。
そいつは明らかにプー狙いです。
「女のくせになんで男湯なんかに入ってんだよ」
と、いやらしい目をギラギラさせながらそいつは湯の中のプーに迫っていきます。
気の強いプーはそいつからスッと逃げると「私男だもん」とプイッと頬を膨らませます。
するとそいつは「だったらチンコみせて見ろよ」と酒臭い息でハァハァ迫っているのです。
子供ながらも「これはマズイ!」っと思った私達でしたが、私達のような子供には何もできません。
そうしている間にもプーはだんだんと浴槽の隅に追いやられていきます。
プーの親父を見ましても、何が辛いのか相変わらず風呂場の隅で頭にシャワーをぶっかけながら苦悩しております。
かくなる上は番台のオババに、と、思ったその時です。
全身に見事なカラクリモンモンをどっぷりと彫り込んだヤクザ者が、チンポをブラブラさせながら浴槽にやって来て、「うひゃぁ~」と目を細めながら湯に浸かりました。
私達はこのヤクザ者をよく知ってました。
以前、彼からは「正しいセンズリの仕方」というものを教わった事がありまして、いわば我々の先生であります(実際、彼が教えた通りのセンズリをした丸山はチンポが切れました)。
私達はさっそく彼に助けを求める事にしました。
湯船の中でいきなり集まって来る悪ガキ達に「よお、センズリ坊主」と、指が4本しかない手で顔をバシャっと洗って笑っております。
「兄ちゃん、プーが・・・」
と、私達はここぞとばかりに悲しい顔をしてヤクザ者に訴えました。
彼はすぐに状況を察したのでしょう、そのヤクザ者は「おい」と鉄工所の流れ者に声を掛けました。
桜の花一輪の鉄工所の流れ者は、その全身胸割りのイレズミを入れた兄ちゃんを見るなり、そそくさと風呂から出て行ってしまったのでした。
危うく難を逃れたプーでしたが、しかし、これで終わるはずがございません。
これがこち亀や寅さんの世界だったら、助けてくれたヤクザ者に「人は見かけによらないもんんだね~」などというナレーションで終わりましょうが、しかしここは最も危険でアウトローな銭湯なのでございます。
安心しきったプーが「あのおっちゃん私が男だって言ったらじゃあチンチン見せてみろって言うんだよ」と、ヤクザ者にプンプンと怒りながら話しておりますと、なんとそのヤクザ者までも「おまえ男だったのか?じゃあ証拠のチンコ見せてみろ」と言って来るではありませんか。
万事休す!!
しかし、まぁ、プーという少女は不思議というかバカというか、「兄ちゃんならいいよ」とアッケラカンと湯船から立ち上がると、その、いわゆる女のチンチンを見せては「あっ、なくなってる!」などと驚いたりして、そのヤクザ者だけでなく風呂場にいた乞食や肉体労働者までも、ゲラゲラと笑わせてくれたのでした。
(つづく→)
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