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恥ずかしいラブホテル

2011/12/10 Sat 15:18

ラブホ

ラブホテルというのは実に嬉しい。
その言葉の響きだけでわくわくしてしまう。
きっと子供達が「ディズニーランド」と聞いて心を躍らせるように、世の中の大人達も皆、この「ラブホテル」という言葉を聞く度に心を躍らせている事だろうと、何の根拠も無くつくづくそう思う。

さて、そんなラブホテル。
このラブホテルというヤツは、どーしてフツーの名前が付けられないのだろうか?

いや、最近はまだいいほうだ。
「ホテルバリアンリゾート新宿」なんて、冷静になってよくよく考えれば実にバカみたいな名前だけど、それでもひと昔前の名前よりは全然マシ。

これが、もっと昔の70年代といった無秩序時代だと、逆に味のある名前が多かった。

以前、静岡のとある町では『ホテル・イソギンチャク』という、まるで、どおくまんのマンガに出て来るようなラブホを見た事があるし、千葉のとある町では『花園』という、実にシンプル且つエロシチズムを漂わす、日本の正しいラブホテルのような正統派な看板を見た事がある。
又、大阪には『連れ込み』という名の、そのものズバリの名前のラブホがあったらしいし、東京にも昔は『一発』という名の骨太なラブホがあったと、刑務所の中で前科六犯のコソ泥から聞いた事がある。

しかしながら90年代。
くそったれ平成の恥ずかしきバブル時代。

この時代になるとそれら味のあるラブホが次々に地上げされていった。
そして、あの味のある看板もあの奇怪な回転ベッドもそしてドラキュラ屋敷のようなあの不気味な建物も、まさに「兵どもが夢の跡」の如く、跡形も無くドカドカと破壊されていった。

そしてそこにまた新しいラブホテルが出来上がる。

やたらとライトアップされた外観。
緑のサーチライトと激しく点滅するストロボが、中華人民共和国のお誕生日会のようで実に恥ずかしい。
薄暗いロビーは決まって大理石(しかもニセモノ)。
通路は大量の観葉植物で目隠しされ、その奥で『お部屋の写真パネル』だけがぼんやりと輝いている。
そんなロビーに流れるBGMは、やたらめったらユーロビート。

(↓こんなやつ)


あの時代、別に何の違和感も無く耳にしていたユーロビートだが、今こうして改めて聞くとすこぶる恥ずかしくなるのはなぜだろう。
これ系の曲を聴くと、いきなり脳裏に『右曲がりのダンディー』にかぶれた玉置浩二モドキの肩パット男と、異様に眉毛の太い飯島直子崩れのデブ女が西麻布の交差点を赤いスポーツカーで走り去っていく姿が悶々と目に浮かび、不意に自殺したくなってしまうから困る。

さて、そんなバブル時代のラブホテル。
「どうして?」と首を傾げたくなってしまうような名前のホテルが、どこの町にも潜んでいた。

特に地方。

田んぼの真ん中でキラキラと輝いている『おちゃめな貴族』というラブホテルを見つけた時は、まるで『未知との遭遇』でUFOと出くわした農場のオヤジのように呆然としてしまった。

又、朽ち果てた巨大煙突が立ち並ぶ廃墟の巨大缶詰工場の裏で、ひっそりとポツンと佇んでいた『そよ風がはこんだ伝説』というラブホテルを見た時は、そのロケーションにおもわず感動を覚えた次第である。

バブル時代に現れたこれ系の糞ホテルというのは、妙に名前を爽やかにしようと頑張り過ぎている。

★ピンクの◎◎
★ピーチな◎◎
★◎◎貴族
★もしもし◎◎
★◎◎のポニーテール
★◎◎ナイト

バブルによって舞い上がってしまった全国のラブホ経営者たちは、これらの言葉が『爽やか』であり、且つ、これらの爽やかな言葉をネーミングに取り入れる事により、ラブホ本来の暗いイメージを打ち消す事ができるのだと本気で思っていたのだ。

あと、憎たらしいのが、やたらと動物名を入れようとするラブホ。

これらは、子豚やタヌキやキリンや象やラッコといったポンキッキ系の可愛い動物を好み、決して虎や狼やハイエナといった猛獣やコウモリやカラスといった害獣は使わない。
しかも、そんな動物達には『タヌキ君』や『象さん』や『子豚ちゃん』と、決して彼らを呼び捨てにはしないという過保護なのだ。

あと、更に憎たらしいのが、天候を名前に取り入れたがるラブホ。

★雨のち晴れ
★小雨のてるてる坊主
★南の風 風力3

もう何が何だかわからないくらいに恥ずかしい(両手で顔を塞ぐ)。

これらの恥ずかしいラブホテルというのは、「大概が税金対策でいいかげんに建てられたもんだよ」、と、詐欺の前科を両手ほど持つ総会屋のおっさんが教えてくれた。
やつらはホテルの名前を見ただけでそのオーナー企業がわかるらしく、子猫系は大手パチンコ店で、フラミンゴ系はカラオケボックスと同系列、はたまたヤシの木マークはソープランド会社の直営店だ、などと看板を見ただけでわかってしまうらしい。

だから、彼らは、所詮、税金対策で建てたラブホだから名前なんてどーでもいいんだよ、とせせら笑う。

しかし、そー考えると、そんなラブホテルで本気で愛を確かめ合う恋人同士が哀れで仕方ない。

ナンパした女を連れ込んだり、不倫のババアとシケ込んだり、商売女を呼び出したりするというイカ臭い関係ならば、やんちゃな子猫でも象さんのポニーテールでも名前なんてどーでもいいのだが、しかし、純粋な女子大生と真面目なサラリーマン青年だと、これはかなり哀れで残酷だ・・・・



カーステレオから流れるハウンドドッグの『ラストシーン』なんかを聞きながら何度も首都高をグルグルと走り回る中古のサバンナRX7。
ライトアップされた東京タワーを背景に、『キミを幸せにしたい……』とポツリと呟く保坂尚輝系の貧乏臭い青年に、アグネスチャンもびっくりの白いハイソックスを履いた、まるで皇室関係者のような地味な女子大生は黙ってコクンと頷いた。
中古のサバンナRX7は暗黙の了解で高井戸ICを下りる。
キチガイ達が蠢く松沢病院を横切り、そのまま暴走族のスプレーの落書きだらけの環八をお互いに黙りこくったまま走り抜けると、ポツンと現れるキラキラチカチカのお城。
廃車寸前のサバンナRX7は減速し、不意に車内にはウィンカーの音だけがカチカチと響いた。

『象さんとキリンさんの内緒話』

どっちが象さんでどっちがキリンさんなのか、もはやそんな事を考える間もなく、薄汚いサバンナRX7はイソイソと駐車場に滑り込んだ。
軽薄なユーロビートをBGMに大理石調のロービーを進むと、バラエティー豊かな写真が並ぶ「お部屋パネル」が突然現れる。
ディズニーのお部屋、プールのお部屋、ビリヤードのお部屋、といった人気部屋は既にランプが消え、唯一、露天風呂のお部屋という人気部屋だけに『空』のランプが付いていた。
しかし青年は、それら人気部屋の料金を見てギョッとする。
だから露天風呂のお部屋は無視して、中クラスの『ファンタジーのお部屋』を選んだ。
互いに気まずい思いをしながら乗込むエレベーターはやけに狭かった。
そんなエレベーターの中には、手書きで書かれた『朝食えびピラフセット無料』と書かれたPOPが貼られ、それを目にした青年は、ふとドラマで桃井かおりが「あなたと朝食を一緒に食べたいの」と風間杜夫に甘えていたのを思い出し不覚にもドキッとした。
そんな二人がヨソヨソしく部屋に入ると、なぜか部屋のBGMは歌謡曲に変わっていた。
合皮がシワシワになったソファーに座り、ガラステーブルの上に積み重ねられているメニューを気まずそうに眺めるウブな二人。
そんな大量のメニューの中には、カラオケ、ビデオ、ファミコンソフト、お食事、デザート、アダルトグッズに混じり、このホテルの親会社が経営する高井戸のプールバーや荻窪のインド料理の店のチラシまで交じっていた。
そんなチラシを横目に、青年はいつ風呂の湯を入れようかとタイミングを見計らっていると、不意に有線から石井明美の『CHA CHA CHA 』が流れ出した。
皇室関係者のような女子大生が「私、この唄、好きなの」と、幸の薄い笑顔で微笑みながら、所々歌詞を間違えながらも必死に口ずさむ。
それを機に青年はスッと立ち上がるが、しかし、素直に浴室には行けず、なぜかベッド脇の電話でフロント9番を押すと、見たくもない『ランボー』のビデオを注文してしまったのだった。
そうこうしながらなんとか二人は入浴を終えると(風呂に入るまでに一時間以上を要した)、いよいよ二人はベッドに入った。
ベッドシーツとお揃いのピンク浴衣は、洗濯糊でガシガシしていた。
それでも二人はムキになってそのガシガシの浴衣を着込むと、ベッドで寄り添いながら、見たくもないランボーを見た。
しかし、そのビデオは、テレビの『ゴールデン洋画劇場』から録画したものらしく、途中でダニアースなどのCMが入ったりして二人を更に気まずくさせた(しかもそれは重ね撮りらしく、ランボーの後に『わくわく動物ランド』が入っていた)。
そんないいかげんなランボーがやっと終了した。
ビデオが終了すると同時にデッキがカチッと止まり、画面は青い光りと共に無料のアダルトビデオが映し出された。
しかもそれは豊丸だった。
人間発電所と呼ばれる豊丸が凄まじい淫乱さで『いぐぅー!いぐぅー!』と叫びながら小便を噴き出していた。
その時点で、既に『ファンタジーのお部屋』のコンセプトは脆くも崩れ、これを機に、やっと雄としての本領を発揮できると鼻息を荒くした青年は、「和代ちゃん!」などといかにも幸の薄そうな名前の女子大生を遂にその腕に抱きしめたのであった・・・。



このように、ラブホテルという場所を「人生の分岐点」として重く考えている真面目な恋人同士にして見たら、この場合のラブホテルの名前は至ってシンプルなものが好ましいと思われる。
彼らにとったら、そこは二人が初めて結ばれた思い出の場所であり、そう考えると、象さんや子豚さんやお天気といったネーミングは、いずれ二人にとって実に恥ずかしい過去となってしまうのは火を見るより明らかなのである。

だから、こーいった恥ずかしい名前のラブホテルは今すぐ撤退して頂きたい。
日本の明るい未来の為にも、ラブホテルの名前と言うのは、本来のジメジメとイカ臭いオメコ系の名前に戻して頂きたい。

そこで僕は考えた。
オマンコだけを目的としたラブホテルに最も相応しい名前。

★HOTEL カッパとアンコ
★リバーリゾート慎太郎のお部屋
★グランドHOTEL 中指の思い出
★東京ベイサイド 狼さんの我慢汁
★ガーデンホテルNAKADASHI

ラブホテルというものが、このようにストレートな恥ずかしい名前であれば、そこで淫らな行為を繰り広げる恋人同士たちもそれが恥ずかしい行為であるのだとちゃんと自覚してくれるはずだ。

そもそもラブホテルと言うのは決してスイートでラブリーでピースな空間であってはいけない。
ラブホテルと言うのは不特定多数の性器がピストン運動するという淫らな場所であり、それは尼崎の駅裏で小便を垂れ流しながら気持ち良さげに寝ている日雇い労働者の如く人間の本質なのである。

だからパチンコ店やカラオケ店の親会社は、そこをよーく理解してもう一度ラブホテルの名前を検討して頂きたいと思う次第である。


(↑このストレートな歌詞がガキの頃から好きでした)


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